クモ膜下出血

Q26家族にクモ膜下出血を起こした人がいますが、遺伝するのでしょうか?

クモ膜下出血は、ほとんどの場合、脳血管にできるコブ、つまり脳動脈瘤が大きくなって破裂することで起こる病気です。大量の出血が、脳を覆うクモ膜という膜と脳の間(クモ膜下腔)に広がり、圧迫されて脳細胞が傷害されます。

 

クモ膜下出血は発症すると3人に1人が一週間以内死亡し、3人に1人にマヒが残り、社会復帰できるのは3人に1人という怖い病気です。適切な素早い治療も大事ですが、明暗を分けるのは出血の場所に負うところが大きく、場所によっては、うまく治療できることもあります。

 

クモ膜下出血を引き起こす脳動脈瘤がなぜできるかというと、それはまだ明らかになってませいません。脳動脈瘤ができる原因としては高血圧や動脈硬化(血管の老化)などが考えられていますが原因不明のものがほとんどです。

 

ただし、家族にクモ膜下出血になった人がいると発症リスクが高まることはよく知られていて、多少は遺伝性があると考えられます。喫煙者にも多いといわれます。しかしながら、家族に発症した人がいなくて、高血圧でもなく、タバコを吸わない人でも、クモ膜下出血が起こらないわけではありません。

 

脳動脈瘤は1~2㍉の小さいものから20~30㍉を超える大きなものまであり、大きくなるほど破裂しやすくなります。ところが、脳動脈瘤があってもさほど大きくならず、破裂しないまま一生を無事に過ごす人もいます。

 

とはいえ、遺伝性はあると考えられるので、祖父母や両親、兄弟などの家族にクモ膜下出血を起こした人がいて、自分も高血圧というような場合には危険性が高いといえるでしょう。一度、脳ドックなどの検査で脳動脈瘤無いかどうかを確かめておくといいでしょう。

 

5年に1回くらいは受けたいものです。検査で「判断がつきかねるけどあやしい」とされたときは、1~2年以内に再検査を受けてください。ちなみに脳ドックは、脳のさまざまな検査を受けられますが、健康保険が使えず費用は最低でも5万~6万はかかります。

 

もし脳動脈瘤の検査だけをしたい場合には、頭痛や高血圧の治療の治療のための検査の一つとして脳神経外科でNRA(磁気共鳴画像)検査を受けるといいでしょう。健康保険が使えるので、3割負担で検査を受けることができます。

 

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Q27クモ膜下出血は重症化しやすいと聞きましたが、予防できますか?

クモ膜下出血は、脳動脈瘤が破裂して出た大量の血液が脳を圧迫し、炎症を起こして脳細胞を傷害するため重症化しやすく、突然死にもつながりかねない怖い病気です。ところが脳動脈瘤ができる原因はわかっていないので、確実な予防法はないというのが実情です。

 

しかし、脳動脈瘤が大きくなって破裂しない限り、クモ膜下出血は起こりません。脳動脈瘤は血圧を上げるような状況で破裂しやすいので、血圧コントロールが予防のカギとなります。

 

塩分を控える、怒らない、急に走り出さない、ストレスをためない、排便ときにりきまない、といったことが重要です。実際、脳動脈瘤の手術を待っている患者さんには、静かな環境で過ごしてもらいます。

 

付け加えれば、クモ膜下出血の最大の予防法は、脳ドックなどの検査で脳動脈瘤を見つけて除去してしまうことです。

 

これについては次に続きます。

 

【夢21誌引用 山口三千夫院長談】

 

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