最新治療法

Q15脳梗塞は発作後4時間以内なら血栓を溶かす新薬が効くそうですが、どんな新薬?

近年、脳梗塞の治療は格段に進歩し、発作後4時間以内に治療すればマヒなどの後遺症が残りにくくなりました。中には、後遺症が全く現れないケースもあります。

 

この治療を可能にしたのが「t・PA」と呼ばれる新しい血栓溶解薬。1時間ほどでかけてこれを点滴し、体内の酵素を活発にして血栓(血液の塊)を溶かします。

 

従来の血栓溶解薬は血栓を溶かす力が弱く、大量に使うと、出血を起こし、非常にやっかいでした。ところが t・PAは、短時間で強力に血栓を溶かして血流を再開させ、脳細胞の死滅を最小限に抑えるのです。

 

ただし、 t・PAは症状を劇的に改善させる効果がある反面、遅くとも発作後4時間以内投与を開始する必要があります。血栓によって血流が止まると、それより先にある血液の流れていない血管はもろくなっています。そこに t・PAによって血流が再開すると血管が破れて出血を起こし(出血性脳梗塞)、非常に危険な状態に陥ってしまいかねないのです。

 

このようなことから、 t・PAは、治療開始が遅れた場合だけでなく、発作がいつおこったか明らかでない場合にも使われません。また、過去3ヶ月以内に脳梗塞を発症した人にも使われないなど、 t・PAはいくつかの制約があります。

 

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Q16新薬が効く発作後4時間過ぎた場合は、どんな治療が行われますか?

 

治療が遅れると、血栓(血液の塊)を溶かす新薬「 t・PA」の治療は受けられません。その場合、従来の血栓溶解薬「ウロクナーゼ」の投与に加え、血流中の凝固因子(血液を固める成分)の働きを抑えて決戦を防ぐ「抗凝固療法」、血小板の凝集を抑えて血栓を防ぐ「抗血小板療法」という治療がおこなわれることがあります。

 

抗脳浮腫療法」は、発症後1~2日たつと病巣部の周辺の組織に現れるむくみを抑える治療法です。血栓が大きいアテローム血栓性脳梗塞や心原性脳塞践栓症(心臓の血栓が流れて血管をふさぐ脳梗塞)の場合、むくみが起こりやすく、これによると脳細胞の損傷を防ぐために行われます。

 

脳保護法は、病巣部の周辺に活性酸素(老化を進める有害物質)などが発生し脳細胞を損傷することがあるため、こうした有害物質を抑える治療法です。これによって正常な脳細胞の死滅を防ぎ、損傷を最小限に抑えます。

 

こうした治療によって、マヒなどの後遺症をかなり抑えることができます(これらの治療は t・PA治療と同時に行われることもある)。ただし、 t・PAの治療ほどの回復は見込めないので、一刻も早い治療が望まれます。

 

【夢21誌引用 山口三千夫院長談】

 

 

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