政府、教育無償化巡り

政府は教育無償化の一環として、大学の授業料を国が一旦負担し、卒業後に所得に応じて返済してもらう「出世払い」の導入案の検討を9月から始める。

返済が不要な給付型奨学金制度の拡充案とともに、安倍政権が新たな目玉政策に据える「人づくり革命」の具体策の軸となる。

 

制度の設計次第では、卒業後の返済負担が重荷になったり、逆に国の財政悪化拍車が掛かったりする恐れもあるため、海外の事例参考にして慎重に議論を進める方針だ。

 

有識者らでつくる「人生100年時代構想会議」の初会合を来月開いて検討に着手する。

大学など高等教育の負担軽減に加え、幼児教育や保育の無償化向けては企業と従業員が保険料を負担する「こども保険」を創設する構想もある。

 

財源の在り方を含め年内に基本方針を取りまとめる。

 

出世払いの導入は自民党の教育再生実行本部が5月に提言し、経済再生担当相(人づくり革命担当相)も選択肢に挙げている。

在学中は政府が大学に授業料分を全額補助し、卒業後に給料から天引きで徴収するオーストラリアの高等教育拠出金制度「HECS(ヘックス)」が検討のたたき台となる。

 

ヘニックスは年収が基準未満の人は返済を免除され、全体の割合は国の補助額の80~85%となっている。

日本でも同様の制度を導入した場合、返済額が低水準にとどまれば国に財政負担がのしかかる懸念がある。

 

一方、給付型奨学金は低所得世帯の成績優秀な学生を支援する新制度。

自宅以外から通学する私大生を対象に2017年度に先行実施され、18年度には国立大生や自宅から通う学生含め月2万~4万円支給する形で本格実施に移ることが決まってる。

 

構想会議では、対象者や支給額の拡大を検討する方向だ。

 

文部科学省の試算では、大学の無償化には約3兆1千億円の追加費用が必要で、幼児教育なども含めると必要財源は4兆円を超える。

 

財務省は「日本の学生1人当りの教育向け財政支出は、国内総生産(GDP)比で見て国際的に遜色ない」とし、一律の無償化には慎重だ。

 

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教育無償化

義務教育の小中学校加え、幼稚園や保育園、

高校、大学の授業料などを実質的に無料にすること。

政府は6月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」で人材育成のための投資を政策の柱に掲げ、幼児教育の早期無償化や大学などの高等教育の負担軽減を打ち出した。

自民党は教育無償化を今後の憲法改正項目の一つと位置づけ、議論を進めている。

 

岩手日報紙より

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