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陸上競技のトラックは、なぜ常に左回り(反時計回り)なのでしょうか。
運動会からオリンピックまで、私たちはこの「左回り」というルールを当たり前のように受け入れています。
しかし、その背景には、人間の身体特性や歴史的な経緯が深く関わっています。
本記事では、陸上トラック競技が左回りである理由について、多角的に掘り下げていきます。

陸上トラック競技の「左回り」の歴史的背景

現在の陸上トラック競技が左回りであることは広く知られていますが、実はその歴史は一様ではありませんでした。
初期のオリンピックでは、右回りのトラックが使用されていた時期もあったのです。
具体的には、1896年に開催された第1回アテネオリンピックから、1904年の第3回セントルイスオリンピックまでは、トラックは右回りで行われていました。
この慣習が変わったのは、1908年のロンドンオリンピックからです。
そして、1912年に設立された国際陸上競技連盟(IAAF、現在のワールドアスレティックス)が、翌1913年に「トラックは左回りとする」という公式ルールを制定しました。
これにより、陸上競技における左回りが国際的な標準として確立され、現在に至っています。

左回りが走りやすいとされる科学的・身体的諸説

なぜ左回りが採用され、定着したのでしょうか。
明確な単一の科学的根拠はまだ確立されていませんが、いくつかの有力な説が提唱されており、人間の身体構造や運動能力との関連性が指摘されています。

1. 右利き優位説

世界人口の約90%が右利きであるという統計があります。
この「右利き」という特性が、左回りの走行に有利に働くという説です。
腕の振り: 右利きの選手は、利き腕である右腕を大きく振ることで、カーブをスムーズに回ることができます。
これにより、バランスを取りやすくなり、遠心力に抗しながら効率的に加速することが可能になると考えられています。
軸足の安定性: 右利きの人は、左足が軸足となることが多く、この左足が体を支え、進行方向を定めるのに適しているとされています。
カーブを走る際には、内側の足(左足)に体重がかかるため、この安定性が重要となります。

2. 心臓の位置と負担軽減説

人間の心臓は、一般的に体の左側に位置しています。
この心臓の位置が、左回りの走行に影響を与えるという説です。
遠心力の影響: 左回りで走る際、遠心力は体の外側(右側)にかかります。
このとき、心臓が体の内側(左側)にあることで、遠心力による心臓への直接的な負担が軽減され、より効率的に血液を循環させながら運動を継続できると考えられています。

3. 視線の動きと認知特性説

人間の視線の動きや認知特性も、左回りの走行に影響を与えるという説があります。
文字を読む習慣: 多くの文化圏では、文字を左から右へ読む習慣があります。
このため、人間は左から右への視線の動きに慣れており、左回りのトラックを走る際に、視覚的に安定感を得やすいとされています。
これにより、周囲の状況を把握しやすくなり、安心して走行できるという心理的な効果も期待できます。
これらの説は、陸上競技だけでなく、自転車競技、スピードスケート、野球のベースランニングなど、他の多くの周回競技でも左回りが採用されていることからも、人間の身体が左回りに適している可能性を示唆しています。
一方で、競馬や自動車レースのサーキットでは右回りも存在しますが、これらは人間が直接走る競技ではないため、異なる設計思想や安全基準が適用されていると考えられます。

まとめ

陸上トラック競技が左回りである理由は、単一の要因ではなく、歴史的な経緯と、人間の身体構造や認知特性が複合的に作用した結果であると言えます。
特に、右利きの人にとっての走りやすさ、心臓への負担軽減、そして視覚的な安定性といった要素が、左回りを「より速く、効率的に走れる」選択肢として確立させたと考えられます。
国際的なルールとしてこの「左回り」が定められたことで、現在では世界中のアスリートが同じ条件で競い合う基盤となっています。

参考文献

[1] THE ANSWER. 「陸上トラック競技は「なぜ左回り?」 利き腕、心臓、視線…実験結果でも証明されている「速い」」. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/a1a2ac5a871b6a9a379db47763cf9979d08b2a18 (参照日: 2025年9月17日)
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