冷え込むお笑い番組

フジテレビ系のバライティー「とんねるずのみなさんのおかげでした」と「めちゃ☓2イケてるッ!」が、2018年春で放送を終了する。若者の関心はテレビからインターネットに移り、コンプライアンス(法令順守)の強化でお笑い番組の制作は厳しくなった。

両番組の終焉は、テレビの笑いが難しい次代を象徴している。

 

ネット台頭  関心移る

お笑いコンビ「ナインティナイン」らが出演する「めちゃイケ」について、フジは「『楽しくなければテレビじゃない』という(局の)理念を体現してきた」と評し「終了まで変わらず制作に努める」とコメントを出した。「みなさん」は、お笑いコンビ「とんねるず」の2人が番組のコント中に終了を伝えた。

 

共に20年以上続いた看板番組の同時終了に踏み切った理由には、まずは視聴率の低迷が挙げられる。過去には最高で30%前後を記録した両番組も、最近は10%以下が大半。フジ系列局の社員は「いつ終わらせるのかという雰囲気はずっと前からあった」と話した。

 

社内改革を急ぐお家事情もある。局全体で視聴率不振に悩むフジでは6月、亀山千広氏から宮内正喜氏に社長が交代。大幅な組織再編や番組改編を進めていた。宮内社長は12月の定例会見で「めちゃイケ」の終了に触れ「現場が新企画で視聴率アップを図ると決断した。社長としてはバックアップするだけ」と述べた。

 

構成担当の石原隆取締役は「長年なじんだ番組を失うのは怖いが、苦境から脱却するには勇気をを持たなければならない」と強調した。

 

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後継不在

「みなさん」も「めちゃイケ」も、かつては斬新な企画で主に若年層から熱狂的な支持を得た。両番組の終了決定で際立つのは、後継となるようなお笑い番組の不在だ。「一緒にロケに行くと、テレビに出ている若手芸人より、ネット動画にでている『You Tuber』の方が騒がれる」。フジ制作スタッフの一人はため息混じりでに話す。「ネットが発達したせいか、視聴者がみな批評家然としてきた。しゃれが通じなくなったように感じる」。

 

笑いには世間の良識にあらがったり、風刺したりする側面もある。コンプライアンス意識の高まりで、表現の幅が狭まりつつある現場を嘆いた。

 

一方、江戸川大の西条昇准教授(大衆芸能史)は、日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」などお笑い以外では話題になるバライティーもあり、若者らのネット移行は進んでもテレビへの関心自体は失われていないとみる。

 

「新しい手法の面白い番組がまだ出てきていないだけではないか。大御所の番組がなくなる今だからこそ、若手にとってはチャンスとも言える」と期待を込めた。

 

【岩手日報新聞紙から引用】

 

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