血流をよくすれば結果内部が刺激される
1998(平成10)年のノーベル医学・生理学賞で一酸化窒素(以下、NOとする)の働きが認められて以降、世界じゅうでNOや血管内皮細胞の研究が盛んに行われるるようになりました。それと同時に、血管を刺激してNOの産生を自力で増やす方法が続々とわかってきたのです。
日本でも、私が以前勤務していた自治医科大学付属病院など数多くの病医院で、NOを増やすさまざまな指導が、高血圧など血管・血液に不調を抱えた患者さんに対して行わているようです。では、内皮細胞を活性化して、NOを増やすにはどのような方法があるのでしょうか。基本は、運動と食事です。まずは運動面からくわしく解説しましょう。
私がぜひ試していただきたいのが、姿勢を正して手足を動かし、歩幅を大きくするウォーキングです。なぜこのようなウオーキングがNOを増やすかというと、手足を動かす運動によって血流がよくなるからです。
血液が血管の中をスムーズに流れることで、NOを分泌する血管の内皮細胞に適度な刺激が加わります。すると、内皮細胞が活性化してNOが血管に分泌されるのです。
さらに血流を促してNOを増やしたいという人な「スクワット」などの筋力トレーニングを行うのもおすすめです。NOを一段と効率よく増やせる体に変わっていきます。とにかく、体を動かすと血流がよくなるため、血管の内皮細胞が刺激されます。効率よく内皮細胞を刺激する運動をぜひ続けてください。
もう一つ、絶対に忘れてはならないの食事改革です。食事は運動のように、NOすぐに増やすのには役立ちません。しかし、NOを産生する内皮細胞の働きを正常に保つという点から考えると、NOを増やすために不可欠な手段といえるでしょう。
私がおすすめする食事法の柱は、「塩分を減らす」「魚や大豆食品をとる」「野菜をたくさん食べる」の三つです。塩分のとりすぎは、血管の老化を促す高血圧を招く可能性を高めるばかりか、塩自体にも血管壁の細胞に入り込んで、内皮細胞を傷つける性質があるため注意が必要です。
次に、魚や大豆に含まれる良質なたんぱく質は、血管の内皮細胞が生まれ変わる材料にになります。野菜は、ビタミン類や食物繊維など血管の老化予防や負担軽減に役立つ成分が多く含まれています。この簡単な3つの食事法を取り入れだけでも、NOを効率的に増やすのに役立ちます。最終的には、運動と食事法をバランスよく行い、NOを増やす生活習慣を自分で身につけることが大切です。
夢21誌引用【島田和幸先生談】