手足ゆらし運動で、NOは増やせる
脳の血流は有酸素運動で増える
脳梗塞や脳出血は、突然起こる病気のため、防ぎようがない・・・このように考えている人が多いのではないでしょうか。
しかし、脳梗塞も脳出血も、多くの場合は初期に数㍉程度の小さな血栓(微小脳梗塞)や出血(微小脳出血)が数個現れ、時間がたつにつれて脳のあちこちに増え、やがて本格的な脳梗塞や脳出血に発展していくのです。
つまり、脳梗塞や脳出血は決して防げない病気ではなく、前ぶれともいえる微小脳梗塞や微小脳出血が新たにできるのを防ぎ、すでにある小さな血栓や出血も大きくしないようにすれば、発作を防ぐことができるのです。
微小脳梗塞や微小脳出血を増やさないようにするには、脳の血流をよくすることが最も効果的です。血流が悪くなると血管の内壁にさまざまな物質が沈着してプラーク(コブ)ができ、血管が狭くなってつまりやすくなったり切れやすくなったりして、本格的な脳梗塞や脳出血を招く原因となります。
さらに、血流がよくなれば脳をはじめとした全身の血管を若々しく保つ物質「一酸化窒素(NO)」増えていきます。NOが脳の血管に増えれが、血管がしなやかになって拡張し、脳の血流がよくなります。血流がよくなればNOを分泌する血管の内皮細胞が刺激され、さらにNOが増えるという好環境がうまれるのです。
さらに、NOには傷ついた血管を修復する働きもあるため、NOが増えれば脳血管の動脈硬化(血管の老化)が改善し、脳血管のつまりも出血も防ぐことができるのです。
では農の血流をアップしてNOも増やすため、私たちができること何でしょうか。最も手軽にできて効果の高い方法の一つが運動です。運動を行うと、脳梗塞や脳出血を起こす危険度がどのくらい下がるかを調べた研究を紹介しましょう。
有酸素運動で1週間の2000~2999キロカロリー(6時間の早足のウォーキングにあ相当)を消費した人は、1週間に1000キロカロリー以下の人に比べ、脳梗塞や脳出血を起こす危険度が46%も減少したそうです。
有酸素運動の代表的なものに、ウォーキングがあります。ウォーキングは足に下りてきた血液を促す運動としておすすめです。さらに、心肺機能を高めたり、高い血圧を下げたりする効果のあることも知られてます。
脳が広範囲に刺激される
とはいえ、これからの寒い時期は、室内と屋外の気温差が激しく、温かい部屋から寒い屋外に出ると、血管が収縮しやすくなります。そうした環境でウォーキングをはじめとする負荷の高い運動をすると、血圧がつまったり破れたりして、脳梗塞や脳出血をおこしやすくなります。
しかし、心配はいりません。脳の血流は、手足をゆらすなどの簡単な運動で、効率よく増やせることがわかっているのです。手足をゆらすだけなら、外へ出なくても室内で行え、体力のない人や運動が苦手な人でもらくにできるというメリットがあります。
とりわけ手は「第二の脳」とも呼ばれほど、脳との結びつきが密接な部位です。手や指をよくゆらして動かせば、脳の平尾井範囲に刺激が伝わり、脳の血流が活発になります。例えば、手の指を動かすときは、物を握ったりパソコンのキーを探して打ったりするなど、感覚や判断を必要とするものです。
このとき、脳では手を動かす部位以外にも、感覚や判断、記憶などをつかさどる部位まで広範囲に刺激され、活発にはたらくのです。
さらに、手足をゆらすうんどうは、有酸素運動という点でも優れています。単純な動作ににもかかわらず、筋肉をしっかり使う動作からです。
夢21誌引用【眞田祥一先生談】